* * *


 どれくらい経ったのだろう。
 買い物から帰ってきてから。


 いつの間にか眠ってしまっていた。





 今何時だろう。

 そう思い、時計を見る。


 驚いた。

 買い物から帰ってきて。
 すでに二時間が経っていた。



 だけど。

 眠りたい、まだ。


 そうすれば。
 できる、忘れることが。
 一輝くんのことを。










 って。

 そういえば帰ってきているのだろうか。
 一輝くん。



 そう思い。
 自分の部屋を出てリビングを見た。

 一輝くんはいなかった。


 続いて見た、玄関の方を。

 だけど見当たらなかった。
 一輝くんがいつも履いている靴が。





 帰っていない、まだ。
 一輝くんが。

 してしまう、ほっと。
 そのことを知って。



 今、一輝くんと顔を合わせる。
 それは。
 きつい、かなり。
 精神的に。


 ただでさえ。
 この十日間。
 気まずくて重苦しい。

 それなのに。
 女の子と一緒に歩いている。
 そんなところを見てしまうなんて。



 これからどういうふうに合わせればいいのだろう。
 一輝くんと顔を。


 普通に接する。
 一輝くんに。


 だけど。
 無い、全く。
 その自信が。

 というか。
 普通に接する。
 できるわけがない、そんなこと。





 って。

 なぜ?

 一輝くんと女の子が一緒に歩いている。
 そういうところを見て。
 いられなくなるのだろう、普通で。