*千花side




目を閉じて少し経った時。



ガラガラ、とドアが開く音がして。



薄く目を開けると、息を切らした昴くんが立っているのが見えた。




「昴!
よかった、助かっ…」



「千花」




ホッとしたように息を吐いた雪森くんには反応せず、



昴くんは私の名前を呼んだ。




「千花」



「昴、くん…」



「おまえ…ほんとバカ」




昴くんが私の傍に来て、私の頬を撫でる。



言葉は意地悪だけど、手つきは優しい。




やっぱり今日の昴くんは、変だよ。