「おいしいです……!」

思わず笑顔になるブランシュに、「でしょ?」とピーターが笑う。その笑顔を見た瞬間、ブランシュの胸がまるで抱き締められているかのように温かくなる。それは、ブランシュが初めて感じる温もりだった。

ブランシュは幼い頃に父を亡くし、母を苦労させたくないと医者になるために勉強しかしてこなかった。そのため、恋はおろか男性とこうしてお茶をしたことさえなかった。

ブランシュはこの日、初めて恋というものを知った。