異常な衰弱状態。寒さと不衛生な環境故に病んだ肺。打ち所が悪かったのか、両目とも失った視力。しばらくは、自分が生きてんのか死んでんのか分からなかった。
何度も同じ夢を見た。三階の窓から見える地面と、息が出来ないほど押さえられた口。後頭部を掴んでいる男の声。
『母さん達に会わせてやるんだ。悪く思うなよ』
落ちていく体、心身に走る激痛。
その夢を見た後は決まって思考が混乱して暴れ、呼吸困難を起こした。視力を失って周りが見えなかったせいかもしれない。夢と現実が区別出来なかった。
それから一年半、俺は医療刑務所にいた。心身の回復と、一日も早い社会復帰を目指しましょう、と言ってカウンセリングの先生が週一で会いに来た。反応が乏しく、ほとんど言葉を発しない俺に、先生は辛抱強く接してくれた。歩けないほど弱っていたので、歩行訓練をさせられた。何を言われても、言われた事にはきちんと従った。そのおかげかどうかは分からないが、ある日刑期の短縮を言い渡された。五年の刑が三年に短縮された。
刑務所に入って約二年半。半年後には出所だという。どうでもよかった。出所しても行き先は無い。身元引受人なんていない。何も見えない暗闇の中、過去にうなされ皆に疎まれ、いつか何処かで干からびて死ぬだけだろう。
俺には関係ない。全ては氷の向こうで起きてる出来事だ。何とも思わない。
何度も同じ夢を見た。三階の窓から見える地面と、息が出来ないほど押さえられた口。後頭部を掴んでいる男の声。
『母さん達に会わせてやるんだ。悪く思うなよ』
落ちていく体、心身に走る激痛。
その夢を見た後は決まって思考が混乱して暴れ、呼吸困難を起こした。視力を失って周りが見えなかったせいかもしれない。夢と現実が区別出来なかった。
それから一年半、俺は医療刑務所にいた。心身の回復と、一日も早い社会復帰を目指しましょう、と言ってカウンセリングの先生が週一で会いに来た。反応が乏しく、ほとんど言葉を発しない俺に、先生は辛抱強く接してくれた。歩けないほど弱っていたので、歩行訓練をさせられた。何を言われても、言われた事にはきちんと従った。そのおかげかどうかは分からないが、ある日刑期の短縮を言い渡された。五年の刑が三年に短縮された。
刑務所に入って約二年半。半年後には出所だという。どうでもよかった。出所しても行き先は無い。身元引受人なんていない。何も見えない暗闇の中、過去にうなされ皆に疎まれ、いつか何処かで干からびて死ぬだけだろう。
俺には関係ない。全ては氷の向こうで起きてる出来事だ。何とも思わない。



