アストランティアは雪が降らない国だ。ここ三十年近く、降雪は観測されていない。だから、俺は本物の雪を知らない。
下街スキラにも冬らしい寒さが訪れ始めた頃、俺は窃盗罪で懲役五年の刑を言い渡された。収監先は、ペンステモン刑務所。ナイジェルが視察した、あの場所だ。
聴取を担当してくれた刑事さんは、ごつい見た目に反して優しい人で、俺の話をきちんと聞いてくれた。オッドアイを気味悪がったりせず、俺の目を見て話してくれた。自首したことを褒めてくれた。何だか、意外だった。
自首して分かった事もあった。
アストランティアでは、十五を境に収監先が違う。十五歳以下はバリエガータ少年院、十六からはペンステモン刑務所。つまり、俺の歳は十四では無かったのだ。
「ジェイミー・アトラス。十六歳。アストランティア首都アルタロゼア出身。二歳の頃、事故により両親と死別、マクラータ養護院に預けられる。十二歳の時、養護院から脱走し以後行方不明。その間、ここスキラにて掏摸を生業としていた……どうした?」
何度目かの聴取の時、確認の為に書類を読みあげていた刑事さんは、首を傾げた俺に気づいて尋ねてくれた。どうしても気になったので、思い切って聞いてみた。
「あの、俺の歳って十六なんですか」
「ああ、戸籍上はそうなっている。以前君が居た養護院にも確認した」
「そう、ですか……」
納得し切れていない俺をしばし見つめた後、刑事さんは、ああ、と一人納得して話し出した。
「やっぱり、十四だと思っていたのか。養護院の職員が言っていた。君の記憶は、二年ずれているかもしれないと」
「ずれてる?」
何だ、それは。何がどうなったらずれるんだ、記憶って。
刑事さんは腕組みして続ける。
下街スキラにも冬らしい寒さが訪れ始めた頃、俺は窃盗罪で懲役五年の刑を言い渡された。収監先は、ペンステモン刑務所。ナイジェルが視察した、あの場所だ。
聴取を担当してくれた刑事さんは、ごつい見た目に反して優しい人で、俺の話をきちんと聞いてくれた。オッドアイを気味悪がったりせず、俺の目を見て話してくれた。自首したことを褒めてくれた。何だか、意外だった。
自首して分かった事もあった。
アストランティアでは、十五を境に収監先が違う。十五歳以下はバリエガータ少年院、十六からはペンステモン刑務所。つまり、俺の歳は十四では無かったのだ。
「ジェイミー・アトラス。十六歳。アストランティア首都アルタロゼア出身。二歳の頃、事故により両親と死別、マクラータ養護院に預けられる。十二歳の時、養護院から脱走し以後行方不明。その間、ここスキラにて掏摸を生業としていた……どうした?」
何度目かの聴取の時、確認の為に書類を読みあげていた刑事さんは、首を傾げた俺に気づいて尋ねてくれた。どうしても気になったので、思い切って聞いてみた。
「あの、俺の歳って十六なんですか」
「ああ、戸籍上はそうなっている。以前君が居た養護院にも確認した」
「そう、ですか……」
納得し切れていない俺をしばし見つめた後、刑事さんは、ああ、と一人納得して話し出した。
「やっぱり、十四だと思っていたのか。養護院の職員が言っていた。君の記憶は、二年ずれているかもしれないと」
「ずれてる?」
何だ、それは。何がどうなったらずれるんだ、記憶って。
刑事さんは腕組みして続ける。



