「お前……お前、なんで……」
呻くような声、途切れ途切れの言葉。心苦しくて、胸が痛む。
「俺、多分何年か刑務所に行く事になると思う。だから、もう化け猫は寄り付かないよ。そしたらもっと商売繁盛するかもだから、安心して」
そう自嘲しつつ、俺は真逆な事を願っていた。
そんな事言うなって、言って欲しい。お前は化け物なんかじゃない、目の色なんか関係ないって、言って欲しい……。
騙していた事を申し訳なく思う気持ちと、本当の俺を受け入れて欲しいと願う祈りが交差した時。
「……出て行け」
低い声が沈黙を破った。微かな期待は霧散し、鋭利な破片となって心に突き刺さる。
「大将……俺、」
ダン! とカウンターを殴る音が響いた。恐ろしくて、何も言えなくなった。大将は俺を睨んで声を荒げた。
「出て行け!」
初めて聞いた、大将の怒鳴り声。その目に浮かんでいる、怒りに似た嫌悪感。怖くて、悲しくて、脚が震えた。
「本当に……ごめんなさい。そして今までありがとう、大将」
口早にそう言って、俺は逃げるように店を出た。
陽が沈み、紺色が茜色を飲み込んで行く。世界が夜闇に沈んでいく。
受け入れてもらえなかった。嫌われてしまった。信じてくれてた人を、傷つけてしまった……。
気がつけば俺は意味も無く走っていた。何かに追い立てられるようにがむしゃらに走った。
シェリフと一緒に眺めた空。手が届きそうに思えた願い。
『綺麗だね。僕、怖くなんかないよ』
全ては錯覚だった。高い場所にいると、雲に手が届きそうに思えるのと同じで。だけど現実には届かないのと同じで。どんなに願っても叶う事は無い。
『出て行け!』
オッドアイは、化け物。その現実は変わらない。
どうして? 子どもみたいな疑問が、心臓に重たく纏わり付く。
「……っ、」
息が続かなくなって立ち止まった。膝を付いてへたりこむ。空は晴れているのに、地面に幾つも雨跡が出来ていく。
呻くような声、途切れ途切れの言葉。心苦しくて、胸が痛む。
「俺、多分何年か刑務所に行く事になると思う。だから、もう化け猫は寄り付かないよ。そしたらもっと商売繁盛するかもだから、安心して」
そう自嘲しつつ、俺は真逆な事を願っていた。
そんな事言うなって、言って欲しい。お前は化け物なんかじゃない、目の色なんか関係ないって、言って欲しい……。
騙していた事を申し訳なく思う気持ちと、本当の俺を受け入れて欲しいと願う祈りが交差した時。
「……出て行け」
低い声が沈黙を破った。微かな期待は霧散し、鋭利な破片となって心に突き刺さる。
「大将……俺、」
ダン! とカウンターを殴る音が響いた。恐ろしくて、何も言えなくなった。大将は俺を睨んで声を荒げた。
「出て行け!」
初めて聞いた、大将の怒鳴り声。その目に浮かんでいる、怒りに似た嫌悪感。怖くて、悲しくて、脚が震えた。
「本当に……ごめんなさい。そして今までありがとう、大将」
口早にそう言って、俺は逃げるように店を出た。
陽が沈み、紺色が茜色を飲み込んで行く。世界が夜闇に沈んでいく。
受け入れてもらえなかった。嫌われてしまった。信じてくれてた人を、傷つけてしまった……。
気がつけば俺は意味も無く走っていた。何かに追い立てられるようにがむしゃらに走った。
シェリフと一緒に眺めた空。手が届きそうに思えた願い。
『綺麗だね。僕、怖くなんかないよ』
全ては錯覚だった。高い場所にいると、雲に手が届きそうに思えるのと同じで。だけど現実には届かないのと同じで。どんなに願っても叶う事は無い。
『出て行け!』
オッドアイは、化け物。その現実は変わらない。
どうして? 子どもみたいな疑問が、心臓に重たく纏わり付く。
「……っ、」
息が続かなくなって立ち止まった。膝を付いてへたりこむ。空は晴れているのに、地面に幾つも雨跡が出来ていく。



