「……迎えに、来るよね?」
「は?」
顔を上げて、シェリフは問う。
「しなきゃいけない事が終わったら、アイのこと、迎えに来るよね?」
「それは……」
俺は目を逸らして、言い淀んだ。
行きたいのは山々だ。シェリフの親にだって、許されるものなら会ってみたい。でも、前科者が渡航するには身元引受人の同行が要る。俺には、それになってくれる人がいない。だから、一生国外へは出られない。
ごめん、それも無理なんだ。そう言おうとした時、ナイジェルが口を挟んだ。
「父や母も、シェリフの話を聞けばお前に会いたがると思う。だから、用が済んだらアイを迎えに来い」
出た、俺様王子の命令形。だけど不思議と嫌な気持ちにはならなかった。何となく、俺の気持ちを察してそう言ってくれた気がしたから。
「ありがとう、二人とも」
我儘を聞いてくれた事に感謝し、俺は相棒に笑いかけた。
「ちゃんとシェリフ達の言うこと聞けよ、アイ」
シェリフの膝から降りて伸びをした後、アイは俺の足元に来てにゃあと鳴いた。ひょいと膝に飛び乗り、ごろごろと喉を鳴らす。真っ白で温かい相棒を抱き締め、俺は無言で囁いた。
ごめんな、アイ。お別れだ。今までありがとう。これからは、シェリフが可愛がってくれるからな。
頬擦りして甘えるアイに、思わず泣きそうになる。わしわし攻撃ー、と柔らかい毛並みを乱暴に撫でて切なさを誤魔化した。
手紙書いてね、必ず迎えに来てね、を百万回くらい繰り返して、シェリフはレシュノルティアへ帰って行った。
『頑張れよ、シェリフ。アイをよろしくな』
アイを入れたりんごの木箱を抱えたシェリフは、ボロ泣きしながら頷いていた。
『僕は来年も公務でアストランティアに来るかもしれない。そうしたら、また会おう』
差し出されたナイジェルの手を握って、曖昧に笑っておいた。その頃にはきっと、俺はナイジェルが視察したあの場所にいる。
アークさんに封書を渡された。何かと聞くと、見れば分かりますと冷たい眼で睨まれた。脅迫状かもしれない。
そういえば、イルジアさんにいきなり頭を掴まれて飛び上がるほど驚いた。本人は撫でたつもりだったらしく、驚いた事に驚かれた。
『久方振りに、笑い合うお二人を見る事が出来た。感謝する』
マフィア然とした王子の護衛は、にこりともせずにそう呟いて去って行った。
「は?」
顔を上げて、シェリフは問う。
「しなきゃいけない事が終わったら、アイのこと、迎えに来るよね?」
「それは……」
俺は目を逸らして、言い淀んだ。
行きたいのは山々だ。シェリフの親にだって、許されるものなら会ってみたい。でも、前科者が渡航するには身元引受人の同行が要る。俺には、それになってくれる人がいない。だから、一生国外へは出られない。
ごめん、それも無理なんだ。そう言おうとした時、ナイジェルが口を挟んだ。
「父や母も、シェリフの話を聞けばお前に会いたがると思う。だから、用が済んだらアイを迎えに来い」
出た、俺様王子の命令形。だけど不思議と嫌な気持ちにはならなかった。何となく、俺の気持ちを察してそう言ってくれた気がしたから。
「ありがとう、二人とも」
我儘を聞いてくれた事に感謝し、俺は相棒に笑いかけた。
「ちゃんとシェリフ達の言うこと聞けよ、アイ」
シェリフの膝から降りて伸びをした後、アイは俺の足元に来てにゃあと鳴いた。ひょいと膝に飛び乗り、ごろごろと喉を鳴らす。真っ白で温かい相棒を抱き締め、俺は無言で囁いた。
ごめんな、アイ。お別れだ。今までありがとう。これからは、シェリフが可愛がってくれるからな。
頬擦りして甘えるアイに、思わず泣きそうになる。わしわし攻撃ー、と柔らかい毛並みを乱暴に撫でて切なさを誤魔化した。
手紙書いてね、必ず迎えに来てね、を百万回くらい繰り返して、シェリフはレシュノルティアへ帰って行った。
『頑張れよ、シェリフ。アイをよろしくな』
アイを入れたりんごの木箱を抱えたシェリフは、ボロ泣きしながら頷いていた。
『僕は来年も公務でアストランティアに来るかもしれない。そうしたら、また会おう』
差し出されたナイジェルの手を握って、曖昧に笑っておいた。その頃にはきっと、俺はナイジェルが視察したあの場所にいる。
アークさんに封書を渡された。何かと聞くと、見れば分かりますと冷たい眼で睨まれた。脅迫状かもしれない。
そういえば、イルジアさんにいきなり頭を掴まれて飛び上がるほど驚いた。本人は撫でたつもりだったらしく、驚いた事に驚かれた。
『久方振りに、笑い合うお二人を見る事が出来た。感謝する』
マフィア然とした王子の護衛は、にこりともせずにそう呟いて去って行った。



