あの日、小猫と出会ったから

「そうだ。本当に悪いと思っているのなら、罪滅ぼしをしてもらおう」
「えっ」
 身じろぎする俺に、ロイヤルブルーの眼が尖る。
「嫌なのか」
「嫌っていうか、その」
「イルジアとアークが――」
 刹那、背中に悪寒が猛ダッシュ。
「ななな何なりと言いつけて下さいませ王太子様」
「まだ何も言っていないぞ」
 王太子は、俺の反応を見て楽しそうに笑った。
「余程、尋問未遂がトラウマになっているんだな。良い弱みを握ったから、今後色々と使わせてもらおう」
 ……本当に、この王太子のどこが慈愛深いんですか、リサさん。
「で、何すか。罪滅ぼしって」
「船の関係で、滞在が一日伸びた。ただ、明日も僕は各所に挨拶したりとすべき事がある。その間、シェリフの面倒を見ていて欲しい」
 あ、そういう事。もっとすごい無茶振りされんのかと思った。
「了解です、殿下」
「助かる。イルジアとアークに見張られてるより、お前と居た方がシェリフも気が楽だろう」
 おお、何気に優しい。リサさんはこういうとこを慈愛深いと言ってるのかもな。良い兄貴だ。
「それから」
「は、はいっ」
 今度こそ無茶振りかと構えていると、ナイジェルはニヤリと不敵に笑った。


「……一体何があったんだ、ジェイミー」
 眼帯以外普段と違う俺の格好と、入り口付近でそびえ立っているイルジアさんを交互に見ながら、大将は尋ねた。
「まさか、危ない仕事に足突っ込んだんじゃないだろうな」
「いや、とりあえず怪しい仕事じゃないから安心して」
 安全かは甚だ疑問だけど。第一、金にならないから仕事とは言えないし。
 溜息混じりに答えると、大将は俺の耳元で囁いた。