その人は後ろから私の肩を抱きしめてくる。
「聖君……」
顔をそっちに向けてみると、聖君の顔に怒りが浮かんでるのが見えた。
「何で、皇が……」
「何だよ、生徒会長様には関係ないだろ」
そんな聖君に少し怯えている様子。
私もこんな風に怒ってる聖君は見たことがなくて戸惑ってしまう。
「ナンパするなら、由妃以外にあたれ。この子に気安く声かけるな」
低く吐き捨てた言葉にビクッとなって、その人達はそのまま逃げるように去っていった。
「えっと。ありがとう、聖君」
困っていたことは確かだから、まずお礼を言った。
こう言っちゃいけないかもしれないけど、さっきの人達しつこそうだったからなぁ……
なかなか断れなかったと思う。
「どういたしまして。由妃、大丈夫だった?」
「う、うん」
心配そうな瞳だったけど、何に対して心配してるのかが分からない。
「あはは、聖一って心配性なんだな!」
「過保護っていうべきじゃない」
「まぁ、さっきの奴らしつこそうだったからな。しょうがないだろ」
さっきは分からなかったけど、後ろから冴木先輩達も来ていた。
聖君に対して、少し呆れたような顔をしながら。



