「まぁ、それはスガもだけど」
「えっ、そうなの?」
「そうだよ。渡邊と春日とは初等部からずっと一緒」
ちょうどスガ君も会話に交ざってきた。
なるほど、だからスガ君は幸ちゃんと莉里ちゃんを呼び捨てで呼んでるんだ。
仲良いんだね。
「スガ君はこういうの好きでしょ?やっぱり本気出すの?」
「当たり前。渡邊や春日も本気出せばいいのに」
「やだよ」
「絶対嫌」
幸ちゃんと莉里ちゃんのきっぱりとした言い方に苦笑いをしてしまう。
そんなに嫌なんだ……
スガ君も苦笑いをした後、私を見た。
「白嶺さんは本気出す?」
「えっ、うん、一応。本気出したところでリレーとかには選ばれないだろうけど」
逃げ足はまぁまぁ速いけど、白百合学園では通用しないと思う。
白百合学園は学力トップの高校であると同時にスポーツも盛んなんだ。
私なんて、遅い方だよね。
「えー、そう?由妃って速そうだけどね」
「っていうか、この子の場合無自覚で自分の実力を分かってないもの。絶対速いと思うわ。自覚してないだけで」
なんて言われてしまう。
……2人は私のことを買いかぶりすぎじゃなかな。



