むちゃくちゃな……


そう思ったけど、見るのをやめてくれないから諦めて料理に向き直った。


でも、そんな風にじっと見られて料理をすることはなかったから、やっぱり緊張してしまう。


手元が狂わないように気をつけながら、作業を進めた。


それから、約2時間くらいかけてお弁当と朝ごはんを完成させた。


「うわ、いい匂い」


「美味しそうな匂いだね」


「こういうの久々だな」


その頃には、冴木先輩達も起きてきた。


「あれ、聖一やけに早いな!」


「ほんとだ。聖一君、いつもは遅いのに」


あ、そうなんだ?


……そういえば、聖君って昔から朝弱かったんだよね。


先輩達のセリフを聞くと、今もそうってこと?


でも、私が起きた時間のすぐ後に起きてきたけど……


「由妃が起きたみたいだから、俺も起きた。もちろん眠かったけど、由妃が見れると思ったら起きれるよ。料理してる姿も見たかったし」


さらっとそんなセリフを吐く聖君。


聖君は普通に言ってるけど、私はなんだか恥ずかしくなってくる。


「うわ、ほんとヤバいな。聖一、骨抜きにされてるじゃん!」


「うん、なんかすごいね」


「ほんと、変わったな。聖一」


先輩方は、特に冴木先輩は呆れ気味。


この変な空気をどうにかしたくて、自分の妙なドキドキも振り払うように声を上げる。