そんな独占欲を由妃に見せたくないし、見られたくない。
「じゃあ、キッチン借りますね」
由妃は寮にあるキッチンに立って、料理を作り始めた。
その間俺達は待つことになり、俺はじっと由妃を見つめた。
「聖一君、由妃ちゃんを見すぎだよ」
「そんなに由妃ちゃんのこと好きなのな」
「全くだな」
黎達に呆れ気味に見られても、特に気にしない。
「そうだけど、なんか文句ある?」
「開き直った」
「聖一は由妃ちゃんに一途だな~」
「お前、白嶺のこといつから好きなんだ?」
「小3」
俺がそう答えたら、黎達が驚いたようにこっちを見た。
「小3!?」
「じゃあ、9年間の片想いってこと!?」
「一途すぎないか、お前」
「うるさいな。由妃に聞こえるから、ボリューム落とせよ」
一途すぎるとは言われたけど、俺は別に普通だ。
一目惚れしてから、由妃しか見えない。
由妃は初めから俺の特別なんだ。