全て案内が終わったら、俺達の寮へ。
「お、帰ってきたな」
「おかえり!」
「由妃ちゃん、場所覚えれた?」
「はい。おかげで覚えることができました」
出迎えがあったけど、黎にいたってはソファーに腰掛けたまま。
霖に関しては嫌だと言ったのに、名前で呼んでる。
黎だけだな。
白嶺と呼んでるのは。
気を遣っているのか。
「あの、ご飯ってどうされるんですか?」
「レトルト食品を食べるんだよ」
「えっ、レトルトですか?もしかして、いつもレトルト食品を?」
「あぁ、だいたいそうだな。それか、コンビニのを食べたりもする」
確かに、俺達にはそれが普通だ。
それが俺達の日常になってる。
「それじゃあ、栄養が偏っちゃいますよ!栄養バランスを考えないと」
考えてたみたいだけど、何か思いついたみたいで由妃が顔を上げた。
「あの、私が作ってもいいですか?」
「えっ、由妃ちゃんが作ってくれるの?」
「それは嬉しい」
「作ってもらえるならその方がいいな。レトルトも飽きてきたところだったし」
「ありがとう、由妃」
できれば黎達に由妃の手料理を食べさせたくないけど、そうは言ってられない。



