静かな廊下を2人きりで歩く。


今、聞いてみよう。


「ねぇ、由妃。俺由妃が帰ってきてたなんて知らなかったけど、いつ帰ってきたの?」


「えっと、昨日だよ」


昨日……?


「何で教えてくれなかったの?」


思わず責めるような視線を向けてしまった。


「ごめんね。聖君をびっくりさせたくて」


そんな理由なら、許すしかなくなる。


由妃はずるい。


「私は寂しかったけど、聖君も寂しかったの?」


そんなの……


「もちろん寂しかった。早く由妃の顔見たいってずっと思ってたよ」


由妃は知らないだろう……?


俺がどんなに由妃に逢いたかったか。


由妃に逢いたすぎて、夢にまで由妃が出てきた。


四六時中由妃のことを考えていた。


「俺だけじゃなくて、由妃も寂しかったんだ?」


「当たり前だよ」


そっか、由妃も寂しかったんだ。


単純に嬉しくなった。


「由妃、ここが理科室だよ。隣は準備室」


1つ1つ教えてあげた。


由妃はとても頭がいいから、すぐに覚える。


「聖君、ありがとう」


「どういたしまして」