「これは私が持っていくわ。聖一君はお客様だし、由妃にはいつも手伝ってもらってるから。こういう時くらい甘えときなさい」


「あ、ありがとう、お母さん」


「お願いします」


持っていかれて、由妃のお母さんと入れ替わりで、由妃のお父さんと亜妃が入ってきた。


「あ、聖一君!一緒に遊んで!」


「ちょっと、亜妃……」


「分かった、いいよ」


「やったー!」


亜妃の誘いに頷くと、嬉しそうな顔をした。


その顔を見ただけで、頷いてよかったと思える。


「でも、亜妃。聖一は受験生なんだから、あんま長い時間一緒に遊んじゃダメだぞ?」


「うん、分かった!」


そこからは由妃も混ざって一緒に遊んだ。


楽しい時間はあっという間に過ぎていった。


「じゃあ、もう帰ります」


遅くなって、もうそろそろと立ち上がった。


「聖君、バイバイ」


「また遊んでね!」


「聖一君、また遊びに来てね。それと、真美によろしく伝えておいて」


「また来いよ」


「はい、また来ます。母さんにもきちんと伝えておきますから。それでは」


由妃の家族に見送られて、俺は由妃の家を後にした。


――今度ここに来る時には、由妃の彼氏になれていたらいいな。


密かな目標が立った。