俺も自分の分の食器を持って、台所へ行こうとすると……
「あ、聖君はお客さんだから、聖君の分も私が持っていくよ」
「いや、別にいいよ。これくらいはしないとだし。ついでに、由妃の分も俺が持っていくよ」
「そんなわけにはいかないよ!聖君の方を貸して?」
「いや、本当にいいから」
由妃は変なとこで頑固だ。
だからといって、由妃にわざわざ持っていってもらう必要はない。
お互い譲らずにいると……
「ふふっ。2人はそっくりね」
由妃のお母さんに笑われてしまった。
似てる……?
俺と由妃が……?
思わず由妃と顔を見合わせた。
「どこが似てるんですか?」
「そうだよ。聖君と私、似てないよ?」
「ううん、似てるわよ。その変に遠慮する癖」
確かに由妃はそういうところがある。
でも、俺は……
「それに、変に頑固なところも似てるわ。でなきゃ、そんな言い争いはしないもの」
由妃のお母さんはクスクスと笑いながらそう言って、俺と由妃の皿を取り上げた。