でも、聖君はこれから料理をするんだ……


明日も仕事があるだろうし、やっぱり私がやった方がいい気がしてきた。


せめて、手伝わなきゃ……


「あの、聖君。私、手伝うよ」


「いいから。由妃は座ってて。いつも由妃が作ってくれてるんだから、たまには作る側じゃなくて、食べる側になりなよ。俺は大丈夫だから」


「う、うん」


本当はよくない。


甘えちゃいけないんだろうけど、甘えてしまった。


座って待つのは、久しぶりの感覚。


フランスに留学してる時もちゃんと自炊してたし。


だから、久しぶりに感じる。


誰かの手料理を食べるのも、待つ側になるのも。


「聖一って、由妃ちゃんには甘いよねー!昔からあんな感じ?」


「えっと……」


甘いのかな……?


それは分からないけど、いつも優しいのは事実だ。


「はい。聖君はいつも私に優しくしてくれるんです。幼馴染みなのもあって、昔はよく遊んでくれました。それからもずっと一緒で仲良くて、私にとってはお兄ちゃん的存在です」


「お兄ちゃん!」