そしてそんな出来事があった事など
まったく知らない人物もやってきた。

「あっちぃな、クソ」

朝シャワー後らしく
濡れた髪をタオルでガサガサ乾かしながら
鍛えあげられた肉体美を際立たせた上半身裸の壱琉が…

「って、服を着て!!」

目ぇ!目のやり場に困るわ!

「んだよ、朝からウルセーな。
 俺の家なんだからどうしたっていいだろ。
 それともアレか?
 俺の身体に欲情するってか?」

壱琉は人の話をまったく聞いていないどころか
ニヤリと悪意を含む笑みを浮かべながら
そのままドカッと椅子に腰掛ける。

「よよよよよとくじょうだなんて失礼な!」

朝から色気ムンムン放出している方が悪い!
なんのサービスですか。
刺激強めなんだよ。

「壱琉、詩菜が困ってる。
 洋服を着てきな」

「「・・・!?」」

この破壊的な一言に驚いたのは
私と壱琉自身。
お互い理由は違うけど
受けた衝撃の強さはきっと同じくらいだろう。

「氷彗お前…
 いつからこの女に肩入れしてんだよ…」

「…してない。
 困っているのは本当だし
 朝からそういうのは女性に良くない」

そう言ってチラリとこっちを見るから
目が合った瞬間ドキッと心臓が高鳴り
顔が熱くなるのを感じて思わず目を逸らしてしまう。

意識してしまうと
いちいちやりづらくて仕方ない。