彼のハグは優しく
壊れないように丁寧に、そっと…

って、そんな感想を謳っているいる場合じゃない。
抱きしめられているけれど
私は抱きしめ返すわけにもいかずに
両手が空を仰いだまま固まってしまう。

「あ、あのぉ…氷彗?」

なんて言ったらいいかわからず
身じろぐ事も出来ずに
とりあえず呼んでみる。

すると、背中にまわる手に少し力が入り
彼は突然…

「俺、たぶん…
 詩菜を好きになった」

告白をした。

「えッ…」

「久しぶりに
 誰かを好きだって想ったんだ」

氷彗が私を…?

いつからどうして、そうなった?
そんな要素…あった?






外では車を停めた壱琉が
バルコニーを見上げていた事に
私はまったく気が付かなかった。


これからどうなる?
私達の関係は―――――――