私の問いに少々驚いたらしく
パッとこちらに顔を向け直視し
『どうしてそう思ったの?』って聞いてくる。

けれど私はそれ以上は何も言わず
ニコリと微笑みかけるだけに留めた。

誰が何を言う事じゃない。
そっと見守るのも大事。

憧れだった父親の事は
元々は大好きだったはずなのだから
きっと大丈夫。

「明日…
 あの人と話してくる」

グッと目に力が入り
戦う決意をした表れが見える氷彗に
私も『そうしな』と頷く。

そしてついでに約束もした。

「じゃぁ明日の夜は
 ここでビール乾杯ね」

「なんの乾杯だよ」

「“お疲れ様会”ってヤツ?」

「何その理由付け。
 ただ飲みたいだけでしょ」

呆れ顔に溜め息を吐く氷彗に
『いいじゃん、せっかくだし』と謎の説得をすると、やっぱりなんだかんだ言いながらも首を縦に振ってくれる。

“これでひとまず話は終わり”と
お互い背もたれから背中を離し
室内へと戻る最中、彼は歩みを止め私に言った。

「そうだ。
 明日は詩菜も一緒に来て」

とーーーー

「えッ、私…です?」

なぜ私?
そう聞く前に彼は続けた。

「乗っかった船、でしょ?
 ちゃんと見届けてね」

それって…
私が言うセリフなんじゃないんでしょうかーーーー