気になる…か。
確かに今まで私の身近に
そんな大それた経歴の持ち主はいなかった。
もちろん身内にも。

だけど特にその部分を重要視していないのも事実。

「どうなんだろ?
 私は誰がどこに住んでいて何をしていようが
 その人の自由だと思ってるから。
 それに。私が氷彗の立場なら
 いちいち他人に口出しされたくないと思うし」

言い終わる頃には家に到着。
庭に車を駐車した氷彗がようやく反応をしてくれた。

「…それならいい」

と、たったのその一言のみ。

車を降り、中へと入っていく後ろ姿が
どことなく元気がない。
まぁ…いつも元気なのかもイマイチわかんないんだけど。

壱琉が言っていた“いいとこのお坊ちゃん”
これが医者の息子って事か。

事情はわからないけど
苦労しているんだろうな、氷彗。


後を追うように私も家に入ろうとすると
庭で昨日私が(大変な思いをして)玄関に閉まった、植木の花を手入れしている壱琉に遭遇。


あー…
昨日の《《アレコレ》》を思い出してしまう…

「…んだよ」

気まずくてチラッと横目で視線を送った時
その一瞬なのに本人と目が合ってしまった。

「な、なんだ…いたんだね」

「悪いかよ。
 俺の家なんだから当たり前だろ」

こっちに顔を向ける事なく
花に水を与えながら素っ気ない返事が返ってくる。