今日の彼の服装はライトブルーのパーカー。
これは部屋着?
欠伸をし目はトロンと、まだ眠そうに見える。


無の境地で神経が研ぎ澄まされ
耳に入るのは風と時計の音。
家の中が明るく感じるのは
真っ白さだけじゃない事に気が付いた。

「吹き抜けなんだ…凄い」

思わず声に出してしまった。
天井を見上げると開放的な空間になっていて
ファンがまわっているから。

昨日はそれどころじゃなくて
全然意識していなかったけど
横にも縦にも広い家だったんだ。

それに2階は狭いと感じなかったし
この家の造りも謎が多い。

「昨日は大丈夫だった?」

「へ?」

感心しながら天井を見上げていた私だったが
急に彼から話し掛けられ拍子抜けした返事をしてしまった。

「雨に、結構濡れていたでしょ」

「あ、うん、全然平気。
 お風呂貸してもらえたから温まれたし…」

「…そう」

一言二言の会話はしたけど
もう終了。
絡みづらいのは同じだった。

「そうだ。
 まだ貴方の名前を聞いてなかった」

会話のキッカケついでに名前を聞いちゃおうと
一石二鳥の安易な考えで何気なく聞いてみた。

「アイツから聞いてないの?」

「え…えぇ、まったく」

答えながら自分でも思う。
あの人の名前すら知らないなんて
そんな馬鹿な…と。