白いモダンの家に到着した時には
時間も空も真っ暗。

「その人…連れて帰ってきたんだ」

玄関で迎え入れてくれたのは
最初に出会った、あの彼。
えっと、確か“氷彗”って言ったっけ。

「遅くなった。
 氷彗、悪いけどタオルを用意してやって」

言いながら
私のキャリーバッグを玄関先に運んできた。

「…わかった」

全身ずぶ濡れで
まだ少し震えが残る私を見た氷彗(くん?)は
ただ一言そう言って奥の部屋へと消えていく。

やっぱり寒い。
めちゃくちゃ寒すぎる。

「風呂に入れ。
 場所はアイツが教える」

そう言って
どんどん先に室内へと入っていく性悪男。

2人とも淡々すぎて扱いづらッ。

玄関でポツンと独り取り残され
彼等の様子を唖然と見ていたけど
ブルっと全身が震え『くしゅん』とクシャミまで出てしまい、これは本格的にマズイと室内にお邪魔する事にした。

よく見れば家の中も白で統一されていて
ほとんどモノも置いていないせいか清潔感を感じる。

玄関幅から廊下の長さまで
広さの規模は大家族並み。
いや、これはとんでもない金持ちレベル。

リビングもキッチンも綺麗に整っていて
まるでモデルルーム。

木目調のテーブルと本革のソファが別の部屋に完備されている。
もしかして来客用の応接室?