性悪なヤツらの取り扱い方を教えてください。


その再会がキッカケで
華恋さんがストーカーの話を持ちかけたんだとしたら…
なんのため?
誰に何のメリットがある?


「詩菜…」

考えて込んでいた私に
壱琉が囁くように小さく呼ぶから
『あ、うん?』って我に返るように顔を上げると
なぜかとても悲しそうな顔で言うんだ。

「悪かった…俺のせいで…」

「え…」

「怖くて危ない目に遭わせた。
 あと一歩遅かったら
 命だってどうなったかわかんねぇ…」

そう言いながら不意に私の頭に巻かれた包帯に優しく触れるから、心臓がドクンと高鳴った。

心痛な表情で何度も『悪かった』って謝る壱琉を見るのは初めて。
私が勝手に庇った事だったのに…
壱琉は何も悪くないのに…
高鳴る心臓は、ドキドキじゃなくて苦しさへと変わる。

「…ッ」

何か言葉を返さなきゃって思うのに
目の奥が熱くなって気を抜いたら涙が出そうで、唇を噛みしめてしまう。

精一杯絞り出せた言葉だって
『大丈夫だよ』…だけ。

本当はもっと違う言葉を伝えたいのに。
壱琉のせいじゃないって
アンタが無事で良かったって…


そんな私の気持ちを知ってか知らずか
壱琉はスッと包帯から手を離し
気を取り直すようにシャキッとした瞳に戻り。

「さっきの男とのこと
 何があったのか
 もう一度詳しく教えろ」

その言葉に私もコクンと頷いた。