そんな私を余所に
壱琉はようやく観念したみたいに一言だけ発した。
「俺は華恋を
スゲェ愛していたんだ――――」
「え…」
心臓が撃ち砕かれたみたいに衝撃が走った。
ズキズキと痛むのは頭の傷?それとも心…?
「当時、俺が20歳で華恋が18…高校生だった。
女漁りの輩に囲まれていたとこを助けてから、なんとなく付き合いだしたんだ」
話始めた馴れ初め恋愛話に耳を傾けてみたものの
”男に襲われかけていたところを助けた”って…
なに、そのドラマみたいな出逢いは。
「高校生に手を出すとか
俺も最初ありえねーとか思ったけど
アイツの純粋すぎる真っ直ぐな性格に
惚れていった――――」
それからは話してくれた華恋さんとの思い出。
1年ほどの付き合いだったみたいだけど
その1日1日がどれほど大切で大事な時間だったか
話す言葉1つ1つで伝わってくる。
それに…
壱琉は自分で気付いていないかもしれないけれど
すごく穏やかに優しい表情をしている。
だけど終盤に差し掛かると
少しずつ難しい顔に戻っていった――――
「華恋は成績優秀で進学する大学も決まって
まっすぐ自分の道を歩いていってる女だったけど、俺は違った。
昔から喧嘩ばっかで
華恋と出会ったときもただ単に喧嘩したいだけで…住む世界が違ったんだ…」



