そこまでわかっているなら…と
私は疑問でしかないし。
ついでに呆れちゃう。
「最初は彼女を庇うみたいに私に強いこと言ってたのに。
どうして怪しいって思った時点で手を引かなかったの?断れば良かったじゃん」
それでも壱琉は『あぁ…』と言うわりに
やっぱり歯切れが悪すぎて
なんていうのか、コイツらしくない。
だけどたぶんそれは
壱琉が以前、私に言った言葉に意味があるんだと思う。
それは私自身もずっと引っ掛かっていた言葉
「壱琉さぁ、アンタと彼女がどんな関係なのか
そろそろ教えなよ。
今は関係ないって言ってたけど
”華恋の事は俺の問題でもある”って…
前に何かあったんでしょ?」
氷彗が言ってた『忘れられないくらい愛した元カノ』が事実かどうか、知りたいけど知りたくない気持ちは少しだけあるけれど…聞かなきゃ前に進めないって思ったんだ。
それでも言うのを躊躇っているのか
黙ってしまった壱琉は本当いつもと違って情けなくさえ見えてくる。
だからつい私も弱いところを突いてしまった。
「私は聞く権利はあると思うけど?
アンタと彼女の事で
ここまでのケガをさせられたんだから」
そう言うと急に壱琉は真顔で私の目を見つめてくるから
『な、なに…』と動揺が口に出てしまう。



