頭に巻かれた包帯が物々しくて
傷口を見ていなくても
どれほどの怪我の程度か推測できる。
こんな状態でも
どうしても気になったのは私を襲った男の正体。
壱琉の手を借りて体を起こすと
『さっきの男の事だけど…』と話を切り出した。
「俺も初めて見る男だった。
たぶんアイツが華恋が言ってた野郎だろうな」
「ストーカーってこと…?」
表情に暗い影を落としながら
『いや、どうだろうな…』と
歯切れの悪い返答が何か悪い意味を示唆しているように思えて、こっちが身構えてしまう。
「男が誰かはわかんねぇ。
だけど今回の件、タイミングが合いすぎる。
本人は2カ月前に県外から引っ越してきたばっかだって言ってたのに、その短い期間で男からストーカーに遭うのも、俺と再会して相談してくるのもどうにも腑に落ちない」
『おかしいんだよ』と腕を組んで唸る彼の話を
黙って静かに聞いていた。
確かに偶然が重なりすぎているようにも思えるけど…
彼女が何をしたいのか壱琉がわかんないなんて…
「それに何週間も一緒にいるのに
男が直接なにかしてくるわけでも
華恋が怯えたり怖がる様子もねーし。
なんなら、俺で遊んでいるようにすら見える」
「遊んでる…?」
『勘だけどな』と
珍しいくらい沈んだ表情を浮かべて気味が悪い。



