『最初からそのつもりだよ』と壱琉に話す氷彗だけど、私にはそんなこと1度も言ってない。
でもそれってつまりは
壱琉の選択なんて関係なく
氷彗は私とこの家を出る事が確実だって話よね。
どうして急にそんな方向性になった?
今問題視すべきなのは
華恋さんのストーカー事件なんじゃないの?
どうしてそこに私が出てくるの?
「論点がズレてるじゃん…」
ドアの向こうの2人の会話をこれ以上聞いていると
今なにが起きていて自分がどうするべきなのか
どんどんわからなくなっていく。
『はぁ…』と小さく溜め息を吐きながら廊下の壁に背を預け、そのままズルズルとしゃがみこんだ私は、体をを丸めて膝を抱えるように顔を伏せた。
壱琉と華恋さん、そして氷彗の3人。
その間で揺れ動く自分の気持ちが
確実に恋愛を意識してしまっているって
このとき初めて痛感させられた。
私は…どっちが好き…?
「どうしよ…―――――」
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答えなんてそう簡単に出るはずもなく
私は2人に見つかる前に逃げるように部屋に戻り
壱琉が家を出て行ったところを
カーテンの隙間から見送るだけになってしまった。
結局のところ
壱琉はどうする事にしたんだろ。
このまま帰ってこないって選択なら
私も真面目にこの先の道を考えないとか…。



