ハッとした時には、もう遅い。
まさに“火に油”
考えなしだった私は
自ら地雷を踏んでしまったようだ。

「まさか詩菜さん…
 夜な夜な彼等が寝静まった部屋に忍び込んで
 布団にまで潜り込んじゃって
 あんな事やこんな事なんかーーーー」

「してませんッ!」

最後まで言い終わる前に
その言葉を封じ込めた。

サーっと血の気が引いたような顔つきで
そんな妄想を繰り広げないでもらいたい。
壱琉の事が大好きで仕方ないのはわかったけども
やめてくれ。

「華恋…さん。
 何かとんでもない誤解されているようですが…私は彼等2人とは何もありませんし、そもそも恋愛感情がないと言いますか…」

『なんと言いますか…』と
ラストはゴニョゴニョ…。
氷彗に『好き』って言われてしまっているから
ハッキリ言い切れないのが痛い。

「そう…ですか。
 詩菜さんの仰りたい事はよくわかりました…」

あらら…納得してないな、コレは。

返事はするけど“腑に落ちない”っていうのが
目力を添えて俯く様子で理解した。
まぁ、素直に受け入れていたら
家にまで来て質問攻めなんかしないか。

「詩菜さんとお話が出来て良かったです。
 ですので、今日はこの辺りで失礼しようと思います」

意外とすんなり諦めてくれて
彼女はスッと立ち上り私にニッコリと笑顔を向ける。