だってなぜデート!?
買い物なら(車がないから)一緒に行ってるし
もうそれだけでドライブみたいなもののはず。

改めて、それも”デート”なんて名目…
まるで付き合ってるカップルみたいじゃん。

行きづらッ!!

「えっ…と…
 デートって言われても
 普段から結構出掛けている気が…」

「じゃぁ日曜日
 空けておいてね」

「えッ!?ちょッッ!」

こちらの話なんてお構いなしに
誘うだけ誘ってニコリと笑顔で立ち去っていく氷彗。

断り切れなかった…

「まぁ…いっか。
 いつも通りに出掛けるだけだし…」

独り言を呟きながら思った。

そうだよ。
『デート』なんてワードを使うから意味深に考えさせられるだけで、普段の買い物と同じなんだから何も気にしすぎる事なんてない。

『あくまで買い物がメイン』と自分に言い聞かせながら
洗濯をしようと洗面所へ―――


1階の風呂場にある脱衣所と洗面所は
別になっているこの家。
だから広さもまぁまぁある。

洗濯機に洗剤を投入しスイッチを入れていると
どこからともなく”ブー・ブー”と
携帯のバイブ音らしき振動が聞こえてきた。

「どこから聞こえるんだろ?」

音を頼りに脱衣所を探してみると
棚の間に落ちているスマホを発見。
すぐ手前の方だったから腕を伸ばせば届く距離でラッキー。