一言一言、ゆっくり噛み締めながら話すと、不思議と心が晴れていく。


「4回裏で制球が乱れて、8回裏までずっと調子が戻らなかった」


「……そっか」 


たったそれだけの返事だったけど、考えて考えて言ってくれたことはよく分かる。


それに、ヘタに慰められるよりもずっといい。


「たまたま、控えのピッチャーが二人とも投げれる状態になくて、試合前から一人で投げることが決まってた」


これが俺の精神状態にどう影響したのかはわからない。


今回の敗因が何だったのかはまだわかってない。


でも、口に出すことで心が軽くなる。


桜子だからこそ、こうやって本心を話せるんだ。


「5回裏で満塁ホームラン食らったのがけっこう堪えたのかもなー」