きらめく星と沈黙の月

何を投げても打たれるところばかり想像してしまう。


自分がこんなに脆いとは思ってもみなかった。


「ふぅ……」


とにかく、流れを変えたい。


早くこの回を終わらせて攻撃に転じたい。


そのために、アウトがあと3つも必要。


「……できる」


大丈夫。


俺ならできる。


今までだって、ピンチを迎えても何とかなってきた。


だから今回も大丈夫。


自分を奮い立たせて投球を続けたけど、その日調子が上がることはなかった。


そして、9回裏が来ることなく試合は終わった。


「お疲れ、碧」


「お疲れ様です…」


こんなに崩れたのは初めての経験だった。


野球には誰よりも真剣に向き合ってきたつもりだったのに、たかだか幼なじみのことですべてが崩れた。


そんなメンタルが弱い自分が情けない。