きらめく星と沈黙の月

カッキーーーン


甲高い金属音が球場に響く。


「……っ」


危なげなくスタンド上段へ飛び込む白球を、ただ呆然と見つめることしかできなかった。


余計なことを考えるからこうなるんだ。


なんで俺はこんなに精神が弱いんだ。


試合は試合、桜子は桜子。


今桜子は関係ないはずなのに。


これで5-4。


正直、調子が戻る気は全くしない。


今すぐマウンドを下りないとチームに迷惑がかかる。


でも、降りることは許されない。


俺が投げるしかない。


「……しっかりしろ」


ホームランさえ打たれなければ、先輩がどうにかしてくれる。


後ろを信じて投げ抜くしかない。


肝心なところで腰が引ける自分が情けなくて、指が震える。