きらめく星と沈黙の月

原因が分かっていれば修正できるのに。


「とにかく、碧は碧らしく、伸び伸びやればいい。後ろにいる俺らと、お前の球を受け止める栗を信じろ」


「はい」


キャプテンの強い言葉で、藤北ナインは散っていく。


そう。


後ろには頼れる先輩方が構えている。


前には長い付き合いの栗もいる。


「ふぅーーーー」


落ち着け、俺。


ノーアウト満塁が何だ。


そんなの、何てことないだろ?


だって、皆がいるんだから。


栗が出したサインは俺が得意とするストレート。


小さく頷き、ボールを握る。


“でも桜子がいない”


ボールを放つ瞬間、完全に気が逸れてしまった。


中途半端に指からすり抜けていったストレートは、誰が見ても甘いチャンスボールだった。