きらめく星と沈黙の月

4番の夏川先輩はピッチャーフライ。


俺の出番が回ってきた。


2アウト、ランナーは1、2塁。


真っ直ぐに海南のエースを見据える。


桜子が見ている。


そう思うと何でもできる気がした。


宣言通り、俺が打った球は伸び、ホームラン。


三塁からホームベースへ帰る時、バッグネット裏をガン見して桜子を探すと、桜子は一人だけ異様なオーラを纏って座っていた。


ホントに来てるんだ。


あの桜子が。


今すぐバックネット裏に行って声をかけたかった。


桜子が球場にいる。


俺を見ている。


それだけで調子がメキメキ上がっていくような気がした。