いつものように、“任せろ”みたいなビッグマウスな発言をしないあたり、緊張しているのがよく分かった。


碧は嘘をつかない。


甲子園に行くと言ったら行くんだ。


だから大丈夫。


碧と栗ちゃんの息の合った最強バッテリーは、逆境でも健在だ。


阿吽の呼吸で二者連続三振。


あと一人。


あと一人アウトにすれば甲子園に行ける…。


だけど…そう上手くはいかなかった。


相手校にだって意地がある。


窮地に立たされている相手校の最後の抵抗は凄まじかった。


後がないプレッシャーのなか、二人が出塁。


2塁と3塁。


どちらの走者も、かなりベースから離れた位置にスタンバイしている。


牽制球を投げても、あとひとつのアウトがなかなか取れないもどかしさ。