きらめく星と沈黙の月

「碧……」


栗ちゃんが碧の肩をポンポンっと叩いた。


碧の表情は今までで1番固い。


プレッシャーからか、しきりに帽子に触れている。


「アイツはなんだかんだ逆境に強いけど…」


今回ばかりはな…と齋藤先生も固い表情で食い入るように見つめている。


甲子園がかかった決勝戦でのノーアウト満塁、相手は好調の4番。


考えたくないけど、大量得点される可能性だってある。


栗ちゃんの声かけの甲斐なく、碧の表情は固いまま投球姿勢に入る。


一球目はストレート。


碧らしい勝負のし方だ。


そして二球目。


碧渾身の一球は、見事バットにヒットし、甲高い音を響かせた。


それに呼応する太いどよめき。


碧の表情が歪む。


この夏初めてのホームラン。


それも、満塁ホームランを食らってしまった。