背中に大きな「1」を背負った碧がマウンドに立っている。
スコアブックを持つ手が震える。
「月川の方が緊張してどうすんだ」
齋藤先生は、ベンチに持たれて余裕そうに眺めている。
「アイツらの顔、見てみ?」
「顔…?」
遠くて見づらいけど、確かな自信を感じる。
胸を張って堂々としている。
そんな顔だ。
「最悪な形で甲子園出場を逃したのに、自分たちの力だけで復活した。自分たちで支え合って、乗り越えた。衝突もあったけど、今こうして一つになってる」
齋藤先生の言葉が、ストン…と心に落ちる。
「それってさ…甲子園出場なんかよりもよっぽどすげぇことだよ。はるかに難しいことだし、俺がアイツらの立場だったら腐ってたかもしれない。それくらいの苦難を乗り越えれたアイツらだから、絶対に大丈夫。アイツらは誰よりも強い」
厳しい練習を課しながらも、自分たちで考えさせ、一歩離れたところから見守ってくれていた。
そんな齋藤先生からの言葉は、涙腺を緩ませるのには十分すぎるくらいだった。



