どれほど時間が経っただろうか。
「すいません、服濡らしちゃって」
「いいよそのくらい」
落ち着きを取り戻してきたみたいだ。
「…警察行けそう?怖い?」
なるべく優しく聞こえるトーンで話したけど、鈴宮さんは押し黙ってしまった。
「そうだよね…。怖いよね、ごめんね」
私も、西高生に絡まれてすごく怖かった。
あの時は大雅が助けてくれたから大事にならなかったけど、見知らぬ男に触られる不快感と恐怖はそう簡単に忘れられない。
「とにかく…明日先生に相談しよう?泣き寝入りはよくないよ」
「……できません」
震えてはいるけど、しっかり芯の通った口調。
「どうして?このままじゃ─」
「部員なんです」