「あ。それと、合宿の時に渡した指輪あるやろ?あれ、勝利のお守りやねんて。桃花がくれたやつやねん」


桃花さんからの贈り物…。


「そんな大事なもの私が持ってたら─」


「えぇねん。あれを持ってる限り俺は前を向けへん。やから持っといて。それに、俺にはもう勝利のお守りはいらん」


野球やめたからなー、と大雅は軽く笑い飛ばした。


指輪を持ってた時点では前を向けてなかったってことは、合宿の時は…。


…あんなに明るくて元気だったのに、本当は悲しみと闘っていたの…?


誰にも分からないように、気持ちを隠し通して…。


「…大雅……」


「んー?」


すごいよ…大雅は……。


「私にはできない……そんなこと…」