大雅……。


初めて会ったとき、何かツラい過去があるんじゃないかって思った。


でもまさか…恋人を亡くしていたなんて……。


「なんか…空気重くなってもたな。別にもう過去のことやから気にせんとってな?」


大雅は笑いながらコーヒーを飲む。


私も曖昧に笑いかけながら、ココアをながしこむけど、味はしなかった。


「…ってまぁ、カッコつけてるけど、桃花に似てる桜ちゃんが苦しんでるところは見たくないって思ってるだけやねん。なんかごめんな」


「…ううん。ありがとう、大雅」


私のためにツラい過去を話してくれてありがとう…。


大雅は、一体どれだけ苦しい思いをしていたんだろう。


それに比べて、私の失恋なんて大したことじゃないよね。


大雅が立ち直れたんだ。


私も前を向かなきゃ。