きらめく星と沈黙の月

「…甲子園行くんが桃花(ももか)の夢やった。病気がちで、病院から出たことない桃花が夏を感じるんは、甲子園の中継やったんやって。やから必死に練習頑張って、春の甲子園への切符を掴みとった。けど、俺らの初戦の前日、桃花は亡くなった。

悔しかった。あと1歩やったのに、って。もう1日、試合が早ければよかったのに、って。誰を恨んでいいか分からんかった。

もっと桃花と一緒におりたかった。野球なんか…はよ辞めて、桃花との時間作ったればよかった。

めっちゃ後悔して、自暴自棄になりかけとった。けど、そんな俺を救ってくれたんは友達やった。励ましてくれて、いろんなところ連れ回してくれて、いろんな経験させてもらった。

気がついたら、それなりに立ち直れとった。全部そいつのおかげや。そいつが俺を助けてくれたから、今の俺がおる。

やから…俺も桜ちゃんを救いたい。苦しい思いしとんは一緒やから」