それからの私は、もぬけの殻だった。


授業は身に入らず、友達との会話も上の空。


唯一、部活だけは“いつも通り”を演じて頑張っている。


それが碧の望みだから。


碧との約束だから。


碧の中での私は“誰よりも甲子園行きを願って頑張っているマネージャー”。


だからあの約束を交わした。


それを今さら壊せない。


部活中だけは、“碧の中の私”を演じなきゃいけないんだ。


本当の私って何なんだろう。


ふと、そんな思いが過る。


碧は本当の私を知らない。


あんなに近くにいて、あんなに仲が良い幼なじみだったのに、いつから偽りの自分で接していたんだろう。


やっぱり、好きになっちゃいけない人だったんだ。


碧のことはもう忘れなきゃ……。