「…前もあったよな」


少しトーンが落ち、声に陰りを感じる。


「…なにが」


「女の子関係で俺と桜子が揉めたこと」


…あったっけ。


「俺が藍沢と出掛けた時、桜子が怒ってた」


…そうだ。
 

あの時も私の嫉妬が暴走して、皆に迷惑かけたんだ。


今回も同じだよね……。


「なんでそんなことになるのか、考えたんだ。んで、対策も練ってきた」


……対策…って。


真面目な顔して何言ってるんだか。


そうなる理由は、私が碧に恋愛感情を持っているから。


対策は、私が寛大な心を持つこと。


他に何があるって言うの。


「桜子はさ、俺以上に“甲子園”っていう夢を追ってくれてるんだろ?誰よりも応援してくれて、誰よりも支えてくれてる。

だからこそ、俺が恋愛に現を抜かしてるんじゃないかって思って、怒ってくれてたんだろ?女の子とイチャイチャしてる暇があったら夢を叶える努力をしろって」