片方の口角だけがキュッと上がった意地悪なその表情を見ると胸がドキドキする。


この想いは伝えちゃいえない。


伝えたら今のこの関係は壊れてしまう。


「碧……」


好き。


「ん?」


私、碧が好きだよ…。


「……なんでもない」


「なんだそれ」


もう他の女の子と出掛けないで。


もう他の女の子に優しくしないで。


言えるのなら、そう言いたい。


夏休みが明ければ、心美や理彩との絡みもまた増える。


体育祭だってあるし、もっとたくさんの女の子が碧に近づいてくる。


やだなぁ…。


碧とずっとこのまま二人でいられたらな……。


私の願いは届かない。


碧は…誰よりも遠い遠い存在なんだ。