「これどう?」


女性服コーナーから聞こえてきた聞き馴染みのある声。


陽菜の声だ。


こんなところで会えるなんてラッキー。


陽菜の声に導かれるように店内に足を踏み入れると、別の声も聞こえてきた。


「微妙じゃね?」


…この声…。


棚の裏側から聞こえてくる。


「さっきから文句ばっかり。星矢も少しは選びなさいよ」


…碧と陽菜だ。


なんで…。


「俺は服に興味ないんだって」


服の隙間から裏側の様子を覗くと、間違いなくその二人だった。


「あー、じゃあこれでいいんじゃね?」


碧がワンピースを手にとって、陽菜の体に会わせる。


…まるで付き合ってるみたい。


陽菜には彼氏がいるからそんなはずないのに。


「ホントにいいと思ってる?」


「めんどくせー」


「はぁ?あんたが誘ったんでしょ?」