「んで、これは桜子に」


ミックスジュース。


私が1番好きな飲み物だ。


あまり売ってなくて、見かけたら絶対に買う缶ジュース。


「ありがと!これ大好きなの!」


「知ってる。じゃ、それ持って早く藍沢のところ行ってやって。俺はもうちょっとトイレに籠っとくから」


爽やかな香りを残して、碧はトイレに駆けていった。


碧のこういう優しさ好きだな…。


皆に平等に優しくて、しかも気を遣わせない優しさ。


それに…去年のことを覚えててずっと気にかけていたんだ。


どこまで完璧な男なんだろう。


「陽菜!これ、碧から」


陽菜の顔色は少しだけ良くなっている。


もう少し碧が時間を稼いでくれたら、楽になると思うんだけど…。


私の願い通り、碧は30分以上戻って来なかった。