きらめく星と沈黙の月

私が野球に関わるのを嫌がるのは碧だ。


高校生になってからはあんまり嫌がんなくなったけど、私がなんとなく野球を避けているのかもしれない。


思い出すんだよね。


封印したくてもできないあの記憶を。


悔しくて悔しくて堪らなかったあの時期を。


「まっ、いいや。どうせ今日は買わねぇし。帰るか。それか、他にどっか行きたいとこある?」


「ふーん…。まぁ碧がいいんならいいけど。あぁ、私映画見たいな」


映画館は帰り道と逆方向で、電車で5駅ほどかかる。


こんな急に言われても困るだろうけど、碧にだから言えること。


ただの友達にはこんなワガママ言えない。


「いーよ。昨日公開された殺人事件のやつだろ?」


「そうそう」


嫌な顔1つせず付き合ってくれる碧はやっぱり優しい。


まぁ、誰にでもこうなんだろうけど…。