「これ、どうにかしてって齋藤先生に頼まれたんだけど─」


「悪い、栗にでも聞いてくれ!」


やっぱりこのチャンスを逃すわけにはいかない。


どんな理由であれ、桜子がグラウンドに来てくれたのは事実。


「ちょっとどこ行くの!これあんたのでしょ!」


悪い藍沢。


このまま桜子との溝を作ったままなのは、よくないんだ。


どうにかして、埋めたいんだ。


「桜子!」


勢いに任せて戻ってきたけど…。


何話すか決めてねぇ…。


いきなりマネの話をぶっ混むわけにもいかないし、かといって密談の内容をオギの目の前で聞くのもナンセンスだし。


せめて試合だけでも見に来てって言うのも…桜子の気持ちを無視しすぎだし。