「ったく…」


駆け足で入り口に近づくと、たしかにオギと桜子だった。


なんで桜子がこんなところに…。


桜子の表情は、俺を歓迎しているようには全く見えない。


むしろ、来ないでくれと言わんばかりの強張りよう。


こんなに嫌がるってことはやっぱり……。


やっぱり桜子は俺の野球姿を見たくないんだ。


昔俺が怒鳴り散らしたから…?


それとも…そもそも、あの事件の前から野球が嫌いだったのか…?


だから倉庫を荒らしたのか…?


聞きたいことは山のようにあるのに、桜子の顔を見ていると何も聞けなくなる。


「お前、部活は?」


結局、オギに話しかけることしかできない。


露骨に俺を嫌がってる桜子に話しかける気になれなかった。